共用の排水管と住戸内の排水管の汚れ方には大きな差があるのです。共用部の排水管は1~3年程度に一回清掃が必要なのに対し、住戸内の排水管はそこまで汚れることはありません。しかし、理由があって現状では住戸内から共用たて管を清掃しなければならないケースが多く、その状況に合わせる必要で毎年の入室作業が発生しています。
清掃業者にとってもお部屋の方にとっても、入室作業は非常に手間を必要とし、当然ながらコストや対応時間が大きくかかる結果になっているのです。守るべき資産の流失とともに、お部屋の方の貴重な時間をも浪費しているのです。
これまでの一般的な調査では、カメラの構造上、マンション排水管の全体ではなく、ごく一部しか調査できませんでした。 マンション排水管の全部調査となると、一部住戸への長時間の入室とその日程調整さらにマンション全体の排水制限など、住戸の方への大きな負担が必要となっていました。
一部住戸内への長時間入室作業とは、部屋の壁/点検口を開口した後、さらにその中にある共用たて管のフタを開けて作業を行うなど工事的な作業が必要です。当然そのお部屋に住む方に大きな負担を強いてしまう、ことになります。
さらに壁の点検口を開ける前には、棚などを撤去するような作業も発生しかねません。あらかじめ棚の片づけをするなど居住者の方には、大変な迷惑と言えるでしょう。
手間の問題のほか点検口の場所も、お部屋のレイアウトによってクローゼットの中や寝室に存在することも珍しくありません。共用排水管のフタを開けると、他住戸の排水の臭いがお部屋に侵入して充満します。そのお部屋に住まわれている方には、その臭いは深刻な被害になります。
さらに共用たて管の内部はヘドロで汚れ、真っ黒な状態です。お部屋の中でそれほどの汚物に触れる作業を行うのなら、汚損を防ぐため厳重な養生作業が必要になります。それは、業者にも該当住戸の方にも、少なくない負担となります。一般的にはお部屋での共用たて管の掃除口を開けることはありません。
排水管全体の調査をするための入室作業は住戸の方、作業者にかなり大きな負担をかけるため 緊急時以外は行われることはありませんでした。よって排水管の全体調査はほぼ行われていません。
お部屋の作業がだめならと住戸以外から共用たて管へのアプローチ方法が実は存在します。建物屋上にある共用たて管の通気口からのアプローチです。多くの建物では、その屋上の通気口からカメラの挿入自体は可能です。ただ問題があります。本来通気口は清掃作業を行うために設けられていないことから、たて管全系統の1~2割程度が屋上付近で、真っ直ぐではなく曲がっています。
曲がりがある管の中に、カメラを挿入することは危険(中へ入っていかない。または、入っていったとしても、抜き出すことができなくなる)です。結果、挿入できない1~2割程度の管は、やはり住戸内のフタを外し、住戸内からカメラ挿入を行う、という手法をとらざるおえませんでした。
このように共用たて管へのアプローチはそれぞれの場所で多くの困難を抱えるため、気軽に出来ませんでした。当然のことながら、トラブルの起きていない平時の段階、予防の段階では共用たて管内へのカメラ調査を行う決断は気軽ではないゆえ誰も出来なかったのです。
しかし、トラブルが発生した際には、すべてを巻き込み一大事であっても、建物全体のカメラ調査の断行が手遅れながら初めて可能になるのです。
先にもお話したとおり住戸内のたて管掃除口を開けての点検やカメラ調査は、一般的には行いません。もちろん、たて管掃除口を開けての清掃もしていません。なぜなら、先にお話したとおり必要な労力があまりに多大であるためです。さらに厳重な臭気対策、ヘドロの飛沫に対しての完璧な養生作業が必要です。そして、一部住戸の方には、調査作業と同様に作業中の長時間の立ち会い(拘束)が必要です。下準備(養生)、開口作業、清掃作業、そして後片付け(養生撤去)これらの作業中、常に住人の方の立ち会いが必要です。対象住戸の方との日程調整、時間調整は難しく、さらに臭いを残さない、汚さないなどの作業が過大であり些細なことでトラブルに発展しやすいため、よほどの理由がない限りお部屋内の共用掃除口を開けての作業は行いません。
先にお話したものと同様、お部屋からの作業がだめならと屋上からのアプローチを考えますが、やはりカメラ調査と同様に洗浄用のホースを挿入すると、ホースを引き抜くことが出来ないケースが発生するため通常では作業を行いません。
お部屋の壁からのアプローチ、屋上(住戸外)からのアプローチそれぞれの作業で、たて管へのメンテナンスが困難であることが判明しましたが、でもそれでも、共用竪管の中はきちんと洗いたい。ではどうすればよいでしょうか。そこで次のような手法が主流になりました。
入室住戸から1階層下だけ清掃 (現在主流の個別清掃) |
入室住戸から多階層清掃 (室内共用部点検口からまとめて清掃) |
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住戸内それぞれの排水口から住戸用の細いホースをたて管まで挿入してたて管をお部屋の付近だけ洗う、という作業が今では主流になっています。作業は通常、1階から上階へ向けて階毎に順序よく行う必要があります。なるほどこれなら、安全に手間なくたて管を洗うことができそうです。一部マンションを除き現状ではこの方法によるお部屋内からのたて管の清掃が必然になっているのです。この清掃方法を採用するにあたり、お部屋内から共用たて管の一部分を清掃する必要があるため、入室作業が必要でした。
『なぜ』の問いかけに少々外れますがこの方法はたて管をきちんと洗えていると言えるでしょうか?。例えば、お部屋の方の突然の外出などで、入室できないお部屋が出たらどうしましょう?。その部屋から本来洗うべき竪管の上下数メートルが、洗えていないというような事になりませんか?。
「ガリレオサーチ」システムを駆使し、これまでの有事部分調査から定期全部調査へ。あらゆる方向から排水管の保全に必要とされるコスト、ストレスを削減します。
排水たて管通気口専用 洗浄ホース挿入システム(新開発) | |
排水たて管清掃時 溢れ防止システム(新開発) | |
排水たて管通気口専用 複雑配管ホース・ケーブル挿入システム(新開発)
※洗浄ホース、カメラ用ケーブルどちらにも対応。 |
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建物全体の排水管内を気軽に観察することが出来るこのシステムで、管内の汚れの進行スピード、汚れの度合い等を、建物全体で正確に把握できます。すると、排水管の清掃時期を正確に決定することが可能になります。
これまでの部分的な管内調査では大部分の管内状況が推測になるため出来なかった判断です。
また、新開発のたて管通気口専用ホース挿入システムによって、これまで困難であった住戸内と共用部の清掃時期を区別することができるため、それぞれ特性にあった清掃スパンの設定が可能です。これまでは住戸内入室作業によって共用たて管の清掃が必須であることから、お部屋の管内状況よりも共用部分の清掃タイミングが優先でした。
共用部のみとして初年度は立管を清掃した直後に調査。 数年後に汚れ具合の調査を行って清掃スパンを決める。(この時のみの作業) 清掃スパンに沿って清掃を行い直後に調査。以後、清掃スパンに沿って施工。